最近の日記

予防接種の極意

アップロードファイル 206KB

新型インフルエンザもだいぶ下火になってきたようだ。2月24日には新型インフルエンザについて、世界保健機関(WHO)が流行のピークを越えたと宣言するかどうか検討を進めていると発表した(朝日新聞、2/24付)。すずきクリニックでの発生患者数は確実に減ってきてはいるが、まだ週に2−3人の新型インフルエンザと思われる患者さんが発生しているので油断はできない。
そのインフルエンザ対策として今シーズンは予防接種が季節型と新型の二種類に分かれて昨年の秋から行われてきたわけである。接種を受ける回数が2回になった患者さんもたいへんだったが、それを実施するわれわれ医療機関側もかなりたいへんだった。特に新型インフルエンザワクチンの予防接種は国が接種者の優先順位を決め、ワクチンの配布を厳しく管理したため、日ごと発表される国や県からの指示に対応することにかなりのパワーを必要とした(前回のブログ参照)。
さて、すずきクリニックを開院してから3回目の予防接種シーズンに私は接種時にある工夫をして、患者さんの痛みが軽くならないものかと観察することにした。その工夫とは接種前にいろいろと話しかけることだった。最初はその日の天気やニュースのことだったりしたのだが、そのうち「痛くないですよ〜」というと患者さんが「あれ、もう終わったんですか?」「ぜんぜん痛くない!」と痛みが軽減することに気づいた。今年に入ってからは「はい、リラックスして下さい。心の中で『痛くない、痛くない、痛くない』と3回おまじないをかけて下さい。」とおまじない方式にした。このセリフを口にするとたいていの患者さんは「クスッ」と笑う。その直後に接種を終えるのである。笑うことで注射だと身構えていたそれまでの緊張がとけ、注射針が皮膚に刺さっても痛みをさほど強く感じないようだ。
すると、2月に買った立川志の輔のCDの解説に「今朝の新聞にこんな記事が「兵庫県西宮市の医師共同グループが、世界で初めてのデーター結果を突き止めた。人間は、注射をされるとき、あらかじめ痛いに違いない、と思い込むと相当痛く感じるが、医師に、あまり痛くないですよ、といわれてそう思い込むと、感じる痛みが二〜三割程度軽減していることが分かった」そうだ」(原文のまま)。私はこれを読んで、『まさにこれだ!』と叫んだ。このCDは2005年11月の発売だからその頃からすでに気がついていた医師たちに驚くと同時に、それを知らずになんとなく感覚的に同じことを始めた自分を褒めてあげたくなった。私は接種を終えた後、痛くないと感じてくれた患者さんには「これはすずきクリニックだけの秘技ですから、帰ってから周りの人にぜひ宣伝しておいて下さいね」とつけ足すことにしている。この秘策の効果は今年の秋冬の予防接種シーズンにどういう形になって現れるか楽しみなのである。
(写真はCDの解説書の一部(立川志の輔「志の輔のらくごのごらく(3) ソニー・ミュージック・ジャパン SICL126」より))

国母君に伝えたいこと

アップロードファイル 221KB

バンクーバー五輪スノーボード・ハーフパイプ代表の国母和宏君へ
私は君のことをバンクーバーに入る際の「腰パン」報道で始めて知ったし、当然君は私のことなど知らないだろうからここで君に語りかけても私の気持ちは君へは届かないことを承知で書いてみるよ。
君にとっては選手団の公式ユニフォームをネクタイを緩め、シャツの裾を外に出して、ズボンをずり下げて着ることは当たり前だったんだろうね。『普段からそうやってるんだから、今回だってそれでいいじゃん』てな感じかな。だから記者やその他大勢の人からの批判も『なんでそんなふ〜に言われちゃうわけ?』と意外だったはずだよね。そして、選手村入村式への参加をとりやめた後の記者会見でも「(他に言うことは)ねーな」とか「反省してま〜す」とタメ口利いたのも君にとっては服装と一緒で当たり前だったわけだよね。新聞によれば君は11歳からプロとして活動してきて、ワールドカップでも優勝したりと実績を携えての代表入りだったそうだから、『そんな競技と関係ないところで批判されたくね〜よ』という気持ちだったんだと思うよ。だから、その2日後に橋本聖子団長と開いた謝罪記者会見は内心、苦しく辛かっただろうね。
とはいえ、私は君には同情する気はないよ。伝えたいことはたくさんあるけど、まず、君は日本代表なんだぜ。公式ユニフォームを着る以上、そんじょそこらのボーダーとは違って、やりたくてもやっちゃいけないことがあるわけよ。そのことを知らなかったことがバレバレになってしまって、君のポイントはがた落ちだよな。さらに1回目の記者会見はその名誉挽回の絶好のチャンスだったのにそこでも君はさらにミスを重ねてしまったからなあ。あそこで神妙に答えておけば、「ほぉ〜、ヤツはまともな会話ができるんだ。ちゃんと反省したんだな」とプラスマイナスゼロくらいまではポイントを戻せたと思うのに残念だったね。
そして、ここからが私が一番にいたいことなんだけど、ちゃんと聞いてくるかな。スノーボードっつうのはみんな君みたいな「幼いやんちゃ坊主」がやってるスポーツなんだと多くの日本人が思い始めたことに気がついてる? 私はせっかく育ち始めたスノーボードのスポーツとしての格式がスキーに追いつくのを君が5年くらいは遅らせたんじゃないと思ってるよ。公私の区別をつける、相手によって言葉遣いを変えることは日本代表になる前から備わっているべき資質でしょう。それができてなかったわけだから、ひいては君のご両親、指導者、そして監督にまで冷たい視線が届くことになるんだぜ、わかる? 明日、君はいよいよ本番だね。私は君を応援してないわけじゃないけど、たとえ金メダルを取っても今回のことは帳消しにはならないと思ってる。それくらい今回の言動は多くの人を落胆させったってことさ。競技前に嫌な話をして済まなかった。こんな雑音にもめげず、競技することも実力のうちだと思うから、がんばってよね。
(写真は1か月ぶりのスキーを田沢湖スキー場で楽しんだ私、背景に見える湖が田沢湖(2010/2/14撮影))

いよいよがんは予防できる時代に

アップロードファイル 170KB

女性の子宮頸がんに対するワクチン「サーバリックス」(グラクソ・スミスクライン・ビーチャム社製)が2009年12月22日に日本で発売になった。、世界では2007年以降、既に世界100か国以上で承認済みで日本での発売が待たれていたものである。私は婦人科医でも小児科医でもないが、がんを研究していたこともあって以前から高い関心を寄せていた。なにせ、がんを予防するというそれまでは「夢」だったことがいよいよ現実のものになるのである。1月20日に秋田市で開催されたサーバリックス新発売記念学術講演会では演者の先生から「将来的には検診とワクチン接種で子宮頸がんはこの世から消えてなくなるはずです」という言葉を聞いて一人で感動した。
子宮頸がんはヒトパピローマウィルスというウィルスの感染によって引き起こされる。このウィルスはどこにでもいるありふれたウィルスで、女性のほとんどが一生に一度は感染するといわれている。感染した女性がすべて子宮頸がんを発症するわけではないが、ある型のヒトパピローマウィルス(16型や18型など)はたちが悪く、感染した1000人に一人くらいの割合でがん化することがわかっている。サーバリックスはそのヒトパピローマウイルスの殻(L1タンパク)だけの偽ウィルスでDNAを含まないため感染することなく、その効果は持続的でかつ確実だという。接種は10歳以上の女性に3回することになっている(1回目、2回目(1回目の1か月後)、3回目(1回目の6か月後)。費用は保険がきかないので3回で約5万円と効果なのがネックである。
ところで、私の大学時代の研究テーマの一つは「がん免疫」で、人に備わっている免疫の力でいかにがん細胞を排除するかということを考えてきた。免疫によるがん細胞の淘汰ができればがんが大きくなる前に体内で「自動的に」にがん細胞を殺すことができるわけで、がんは現在のように診断されることなくなり、がんは過去の病気となってしまうのである。大学での学生に対する講義の時、一番最後にかならず「がんワクチン」の項目を設け、「将来はワクチンでがんは予防できるようになるよ」と話した。ただ自分としてはがんワクチンが実現するのはかなり先のことで内心「夢物語」を語っているという状態だった。
今回発売された「サーバリックス」は原因がウィルスによる子宮頸がんに対してのみの効果なので、そもそもヒトが持っている遺伝子に変化が起こって発生する通常のがんには効かない。つまりどんながんにも効く「夢のワクチン」とは言い難いが画期的なことにはまちがいない。今回の「がんワクチン」の第一歩からいずれ人間はがんを克服してしまうと期待している。それを自分の目で見てみたいものである。
(写真はグラクソ・スミスクライン社によるサーバリックスのパンフレットの一部(2010/1/31撮影))

格の違い−立川らく兵・談笑・志らく・志の輔・談志−

アップロードファイル 155KB

今日は私が贔屓にしている立川談志の弟子、立川志らく・立川談笑による二人会が秋田市であり、楽しみに出かけた。会場であった秋田県児童会館の客席は1階578席、2階200席で、1階の約8割ほどが埋まっていたので聴衆は450名くらいだったと思われる。「談笑・志らくと言えば東京では大人気の噺家でいつもチケットは完売ですが、秋田ではほどよい空席がありますねえ」と志らくがマクラで語っていたが、秋田県人の私には『そっちの営業努力が足りないんじゃなの』と心の中で思って聴いた。
それはともかく、前座は志らくの弟子:らく兵がお正月にふさわしい「初天神」をやった。次に談笑が「時そば」と「金明竹」という古典中の古典を2席連続で演じた。休憩をはさんでトリは志らくで「らくだ」を後半も省かずに(普通は省かれることが多い)最後までやった。どのネタも話の展開からサゲまでを知っている自分にとって、いわゆる教科書通りにやられるとつまらなく、談笑の二席目では思わず居眠りしそうになった(失礼)。
合計4席を聞いて感じたことは、当たり前と言えば当たり前なのだが、「格の違い」だ。マクラの長さが一番わかりやすい差だったが、マクラの内容も自分の名前の説明だけで本題に入ったらく兵と、社会情勢を風刺し秋田の話題もたっぷり入れた志らくの差は大きかった。また超有名な「初天神」、「時そば」、「金明竹」という話と、登場人物も多くそれぞれの態度がころころ変わり、演じることが難しい「らくだ」というネタにも差があった。そして中にちりばめられた「くすぐり」のおもしろさも志らく−談笑−らく兵の順に大きな違いがあった。さらに私が一番感じた大きな差は「話のスケール」だ。噺家から放たれる話の勢い、あるいは迫力といったところだ。安定感と言ってもよいかも知れない。これ以上はうまく表現できないのだが、『最後まで演じきれるのだろうか』と不安を抱かせる噺家と話を聞きながらだんだん圧倒されていくのがわかる噺家がいる。これが「格の違い」なんだと思う。
立川流一門には彼らの上にまだ談春、その上に志の輔、さらに家元の談志がいる。談春はまだ聞いたことがないので私としては判定不能だが、去年秋田で聴いた志の輔はさすがに今日聴いた志らくより上だと感じたし、立川談志がやった同じ「らくだ」をみるとさすが名人と唸らせるものがある。この格の違いは経験とけいこからくるものであろうし、もしかするとその人の持って生まれた素質も関係しているのであろう。比較するのもおこがましいが、同じ人を笑わせるにしても自分が演じる南々亭骨太には見せる格もなく、聴衆も迫力を感じているとは思えない。それでも笑ってもらえるからありがたいことである。
(会が終わった後、手ぬぐいへサインをもらって、立川志らくと撮影(2011/1/24、秋田県児童会館にて自分撮りで撮影))

男性型脱毛症に対するプロペシアの治療効果−4年間の使用経験−

アップロードファイル 376KB

私は自分の脱毛症に対してプロペシア(一般名:フィナステリド)を2005年12月からずっと使用してきている。その効果に関してはこのブログ内で1年ごとに報告を重ねてきたおり(2006年12月14日、2007年12月2日、2008年12月30日のブログ記事参照)、今回は通算4度目の報告となる。言わずもがなではあるが、発売元の万有製薬から利益供与や薬剤提供は一切受けておらず、この報告はあくまでも自発的なものであることをお断りしておく。
ところで、当院にも同じような脱毛の悩みを持った男性が時々来院する。私は治療に関して一通りの説明をした後「実は私も使ってるんですよ」と首を傾け、自分の頭髪を患者さんに見せることが多い。すると、傍らの看護師が「私たちの採用面接の時は本当にもっと薄かったんですよ。後ろから毎日見てると増えてきたのがよくわかります。」と『合いの手』を入れてくれる。患者さんの反応は一瞬、目を大きくして驚かれる場合と、にこっとして「ブログ見てきました」とおっしゃる場合とに分かれる。いずれにせよ自分が飲もうとしているクスリを目の前の人間がすでに飲んでいて効果があったという話は患者さんにとっては悪い話ではないようだ。
さて、前回の報告で述べたように、3年間の使用でかなりの効果が得られたので、2009年1月からはそれまでの1錠(1mg)連日内服から2日に1錠と半分に減量してみた。万有製薬の学術担当者からの情報では増毛ではなく維持するだけならそういった方法もあるとのことだった。しかし、6か月ほど経過すると明らかに毛髪の量が減ってきた。行きつけの理容店でも「最近、減ってきたんじゃないですか?」と指摘され、自分で鏡を見ても明らかに薄くなってきたことがわかった。2009年7月からは再び1錠を毎日内服している。
4年経過した2009年12月時点で、頭髪は再び元の状態に戻り、私もスタッフも一安心している。現在の問題点はまだ増えた毛髪はまだ『活き』が悪く、理容店では「カラーリングを施す状態ではない」と言われ白髪が目立つことである。まあ、50歳を過ぎ、それなりの容姿が必要とも考え、頭頂部の白髪は放ってある。とにもかくにも副作用もなく効果は自他共に認めるところなので、頭髪が薄くなってきた方にはお勧めしたい方法である。
(写真は上から、プロペシア内服前(2005/12/20)、内服後1年(2006/12/13)、内服後2年(2007/11/28)、内服後3年(2008/12/24)、内服後4年(2009/12/10)の私の頭髪。撮影は比較のため必ず散髪当日に、同じ場所で、同じ条件で行った。)